多重債務者にお金を貸せないのに、高金利通貨を買うのですか?

円の金利がほとんど無いことに比べ、トルコリラは約17%、アイスランドクローネが15%、南アフリカランドが11%、ニュージーランドドルが8%です。  為替の動きが安定しているという仮定をすれば、この金利を使って儲けない手はない、と考えても当然です。

しかし、安易の高金利通貨を買い持ちにするのではなく、投資する前には、そのリスクについて、十分に研究しておく必要があります。  金利が高いということは、国内のインフレ率がかなり高いことであり、国が多重債務に陥っており、経済的にも良くない状況であることが多いからです。  つまり、金利を高くして、通貨の流通を制限しないと、通貨の価値がどんどん下がってしまう状況にあるということです。

その際たるものが、1980年代から1990年代前半にかけての中南米(特にブラジル)のハイパーインフレです。 最大年間6000%まであったそうですから、ラーメン一杯が500円が1年後には3万円になっているという、ものすごいインフレです。  インフレは通貨価値の大幅低下ですから、金利が高いということは、通貨価値が大幅に安くなる可能性を内包しているということです。

ですから、トルコリラ、南アフリカランド等を取引される場合には、ある程度の覚悟が必要です。  それは、資金が紙くずになるリスクであり、また、取引したくても取引してくれるところが無くなるというリスクです。  

脅かす訳ではありませんが、高金利通貨に投資するということは、多重債務者にお金を貸しているのと同じかもしれません。  

 

為替でインサイダー取引?

今日は、野村證券社員のインサイダー取引の事件がテレビを賑わせております。  もちろんインサイダー取引は、悪いことなのですが、表面的には誰も傷つけたり、痛めたりしたわけではないので、一度手を染めてしまえば、感覚が麻痺してくるのでしょう。

では、為替の世界で、インサイダー取引というのは、あるのでしょうか?  答えはYESなのですが、今まで為替のインサイダーで捕まったというのは聞いたことがありません。  私もインターバンクに居た立場として、過去に何件もそういう情報に接してきました。  しかし、インサイダー情報があっても、儲けられないのが、為替取引の奥の深さなのです。

昔(15年以上前のことです)、某S銀行のシンガポール支店でチーフディーラーとして働いていた頃のことです。  その頃は、「ネガラ」(マレーシア中銀)やら、ソロスやらが暗躍していたときのことです。  私の為替チームもかなり活発に取引しており、そのために、「ネガラ」の為替を受けていると誤解されていたことがあります。  でも実際は、東京本店の通貨オプションチームから取引を依頼され、その為替を受けていただけで、ネガラへは出向いたこともありませんでした。  このことは、S銀行の東京本店の為替ディーラーにも知らされておりませんでした。

為替を超大口で売買するのは、神経を使いましたが、儲かれば愉快でもありました。  しかし、大口で取引があることを知っていても、簡単には儲けられません。  1億ドルの取引をしても、レートがほとんど動かなかったこともあります。  ですから、為替でインサーダー情報は存在していても、それを使って儲けるというわけにはいかいようです。

崩れ落ちる巨人・シティグループ

シティグループは15日、2007年10-12月期決算でサブプライム絡みで235億ドル(約2兆5千億円)の損失を計上すると発表しました。  7-9月期にも65億ドル程度計上しているので、2007年度は合計300億ドル程度の巨額の損失を計上したことになります。  サブプライム絡みの損失は、欧米大手20行の合計で1000億ドルといわれている中、シティの計上額は約3割を占めることになり、金融機関の中では突出しています。 

今回、損失額が、当初の予想よりも大幅に広がったのは、SIV(structual investment vehicle)と呼ばれる連結対象外の運用会社7社の保有している証券化商品490億ドルを連結対象としたためです。  シティが保有している550億ドルの証券化商品と合わせて、1040億ドルの証券の評価損が発生することになったため、当初の見通しよりも、かなり大きな損失計上となったわけです。  これは約200年のシティの歴史の中でも、最大の損失となりました。

この重大な危機に面して、シティは、増資と配当引き下げを対策として打ち出しました。  早速、アブダビ投資庁から75億ドルを引き出し、サウジアラビアのアルワリード・ビンタラル王子や、シンガポール投資庁等からも、出資の約束を取り付けたようです。  しかし、中国国家開発銀行(CDB)が20億ドルの出資を土壇場で見送ったように、巨額の資金調達は容易なことではありません。  サブプライム絡みの証券が元本の15%でないと取引されないという話もある中、300億ドルの損失計上では甘いという声もあります。  

サブプライム問題は、住宅と金融機関を巻き込んだという点で、日本のバブル崩壊に似ているような気がします。  シティがこの局面をどう乗り切るかに、他の金融機関の運命もかかっています。       

ポンド円相場の終焉

ポンド円が本格的な上昇を始めたのは2000年の夏でした。  その時点では、150円を割り込んでいたので、7年で100円以上の値上がりをしたわけです。 年率になおすと7.5%以上の上昇を毎年続けた計算になります。  2000年の夏にはドル円が105円程度だったことを考えると、ドル円との比較では、完全にポンド円に軍配が上がります。  しかも、2000年から2007年までほぼ一貫して上昇を続けているところから、投資対象としては、大変優秀な商品だったことになります。  もちろん、ポンドの金利を考えれば、為替と合わせて12-13%以上の利回りは確保できていたはずす。

しかし、ポンド円も昨年250円台をつけてからは僅か半年足らずで35円以上も値を下げました。  今まで優秀な投資対象だったものが、一転して、不良になってしまいました。  7年間、金利で儲け、為替でも儲けてきた「つけ」の相場が始まったようです。  このトレンド変化は、次の理由に裏打ちされたものであり、今年の相場の主役になる可能性があると思われます。

1.金利の変化・・・サブプライムに揺れる米国金利が軟化している限り、ポンド金利は上がらない。  この状況が続く限り、ポンドが買われる理由は見当たらない。

2.沈みかけた船には死人しか乗らない・・・穴の開いた船は、沈むのが運命である。  今からポンドを買おうとする輩は、短期売買しか考えていないはずである。

3.金利で買われた通貨は、崩れるのが速い・・・今まで金利高を背景に買われた通貨は多いが、そのどれもが、一度は崩れたか、またその前に金利が下がってしまった。

4.7年相場は区切り・・・なぜか、英国で実際に暮らした人を中心にポンドという通貨の強さに懐疑的な人が多かったように思う。  逆に、この7年間、そういう人が多かったので、ポンドが上昇してきたのかもしれません。  

この1-2年は、特に、一般の方がポンドを買ったり、為替でポンド円を買って、スおワップを稼ぐという方法が目に付きました。  しかし、ポンド金利が下がり基調となっていますので、円金利が上昇をしないでも、金利差は縮まります。  ポンドと円の金利差という大きな支えを失ってきている今、ポンド円相場は終焉への一歩を踏み出しました。   

ヘッジファンドと資金還流(レパトリ)

米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した金融不安は、高リスク投資を続けてきたヘッジファンドの破綻という形で表面化し、全世界の金融マーケットを巻き込んだ問題になっている。

ヘッジファンドについては、以前から、事あるごとに、金融マーケットの問題児として扱われてきたが、ここ5年の間に約3倍に増加し、運用資産は17兆5千億ドルに達するということである(bloomberg news dated 8-31-07)。  今や、彼らの動向がマーケットの動向を左右すると言っても過言ではありません。  

ヘッジファンドについては、資産の何倍もの取引をすることが知られていますが、サブプライム問題が表面化し、世界中の株式市場が大打撃を受けた段階で、ある程度の資産処分を行いました。  その過程で、キャリートレードと言われるスキームを解消したことが、円高の原因だと言われています。  つまり、金利の安い円で借り入れを起こし、金利の高いもの・リスクの高いもので運用していた取引を解消するために、ポンドや、ユーロ、米ドル、オースオトラリアドル等を売って、円を買い戻すという動きをしたわけです。

現在は、株式市場が多少落ち付きを取り戻していますので、キャリートレードの大きな波は去ったような印象があります。  しかし、このまま株式市場が停滞したままですと、年末が近づけば、ヘッジファンドは利益確保の動きに出ます。  特に、海外で運用していたり、ドル以外の通貨になっているものについては、できるだけリスクを避けるために、米ドルに転換してリスクを避けようとしてきます。  

この動きを次の2つのシナリオから分析予想してみます。
(1)サブプライム問題がさらに悪化し、全世界的な株式市場の暴落がある場合
(2)サブプライム問題の悪化はなく、株式市場も比較的に落ち着く場合

(1)の場合には、全世界的な資金還流があります。  特に、キャリートレード解消の動きが加速し、ドル円は1ドル100円を脅かすような状態になる可能性があります。  キャリートレードについては、米ヘッジファンドだけではなく、高金利通貨を狙った日本人のポンド買い円売り等のスキームも含みますので、円独歩高になる可能性もあります。

(2)の場合にも、年末になれば、資金還流動きが出てきます。  特に、米ヘッジファンドの資金還流の動きは、一時的なドル買いラッシュを引き起こしますが、ドル資産への資金流入が続けば、金利は低下します。  一般的には、金利が低下すれば、その通貨は安くなるはずですが、米ヘッジファンドによる資金還流は、金利水準よりも安全通貨を選びますので、ドル買いの勢いが殺がれることはないでしょう。

いずれにせよ、サブプライム問題がそんなに簡単に解決されるわけはなく、少なくともあと半年程度はくすぶり続けるでしょうから、サブプライム問題とヘッジファンドの動向からは目が離せないでしょう。

クレジット・クランチ?

バーナンキFRB議長は、サブプライム住宅ローン問題が1兆ドルに到達する見込みであることを認めたが、サブプライム住宅ローン残高が100兆ドルと言われている中、1%のデフォールト率で終わるとは思えない。 また、その他の軽減措置を含む住宅ローン等を含めると、さらに問題は大きくなっているはずである。

サブプライム問題は、それ自体が大きな経済問題であるだけでなく、次の3点から、国民の経済活動に大きく影響してくる。  
(1)住宅スランプ・・・サブプライム問題がどんどん表面化してくれば、このスキームでの住宅ローンが激減するはずである。  そうなれば、住宅メーカーや、建設会社等の経営が悪化するわけであるが、実際、この住宅スランプは16年来の数字にまで悪化してきている。  
(2)株価下落・・・今回のサブプライムの発端となったヘッジファンド2社を抱えるNYベースの証券会社ベア・スターンズ社の株価は今年になって28%もの下落幅となっている。  今後、サブプライム関連の証券会社等の株価がさらに下落し、また、住宅関連株が不芳となれば、米株式市場に対する不安はさらに広がる。
(3)個人資産の縮小・・・個人資産は、現金、株式、不動産の3つから成り立っているとすれば、株価下落、不動産価格下落は、あきらかに個人資産を減少させる。  特に、不動産価格が下落すれば、セカンド・モーゲージでの借り入れ等、不動産に頼った借り入れについては、激減してくる可能性があり、個人の自己破産が大幅に増加する可能性がある。

こうした状況が続いてくれば、いわゆる、「クレジット・クランチ(信用縮小)」状態になるため、政府としては、個人資産の最後の砦となる現金の価値を低下させず(インフレ防止)、かつ金融機関の貸し渋り等でクレジット・クランチが悪化しないように、舵取りが必要となる。  これらを考えるとサブプライム問題は、想像以上のインパクトを持った問題であり、大きな爆弾となっている。

米国のサブプライム問題と為替相場

最近、サブプライムという言葉を聞くことが多くなっています。  これは、正確には、サブプライム住宅ローンのことを指しますが、債務返済比率、債務残高比率、信用スコアリングなどが規定を満たさず、プライムローンを適用されなかった個人を対象としたローンのことです。  これらの住宅ローンは、プライムローンの金利よりも、リスク部分の金利上乗せがあったり、変動金利型であることが多いのですが、このデメリットをカバーするために、業者側では、①当初は利払いのみで、元本支払いのないもの(インタレスト・オンリー)や②当初は元本支払いを免除するだけでなく、金利の支払いも一部免除するもの(ネガティブ・アモタイゼーション)を考案し、ここ4-5年の間に、急激に残高を伸ばしてゆき、現在では、住宅ローン市場の15%程度まで占めるようになってきたようです。

 このサブプライム住宅ローンで問題が発覚したのは、今年2月始めに英HSBCホールディングが、サブプライム関連の償却費用を100億ドル規模で計上すると発表したことです。  その後、サブプライム業者大手25社のうち8社が経営破綻ないしは清算することが発表され、それらのサブプライム業者に出資していた大手ヘッジファンドについても、破綻が発表されたり、噂されたりしてきています。

この背景となっているのが、サブプライム住宅ローンの延滞率の上昇ですが、これは、当初の優遇金利期間が終わり、毎月のローン支払い金額が大きくなったからです。  優遇金利期間は2-3年であることが多く、現在問題となっているのは、2004年ごろに取り組まれたローンであるようです。

さて、このサブプライム問題ですが、サブプライム市場が住宅ローン市場の15%程度であるにしても、今後は2005年から2006年にかけて取り組まれたローンの影響から、今後も延滞率が上昇を続けると予想されています。  また、サブプライムだけでなく、プライムの中でも代替Aローンと言われる、サブプライムにかなり近いローンでの延滞も増えているとされており、不気味な存在となっています。  さらに、もし住宅価格が下落してくれば、状況はさらに悪化してくると思われます。

このところ、米株式が好調で、連日過去最高値を更新しています。  ところが、為替では、ドルがそれほど買われていないようです。  サブプライムという問題がある限り、FEDは金利を大幅に引き上げられないし、実際は、今年中に50bpの金利引き下げに動くとの予想も出ています。  当面の金融引き締めは無いということは、金利安>>>企業業績にプラスという面から、株式を買うという動きが、米株式市場を活況にしているようですが、一方、為替に関しては、サブプライム問題が米経済における懸念材料であることや、金利安>>>通貨安という見方が多いため、ドルよりも、むしろユーロやポンドが買われるという状況になっているようです。

欧州中銀4%に利上げ

欧州中央銀行(ECB)は、6日に行われた定例理事会で、政策金利を0.25%引き上げて4%とすることを決定した。  利上げは、今年になって2回目(1回目は3月)であるが、市場調節金利が4%となるのは、2001年8月以来であり、約6年ぶりの金利水準となった。

ユーロ圏の消費者物価指数は5月の速報値1.9%であり、目標である2.0%を下回る水準であるが、ユーロ圏の経済成長が好調であることや、原油価格が高止まりしていること、高水準の銀行貸し出し等の材料を判断して決定であったようだ。

尚、トリシェECB総裁の会見では、「金利はまだ緩和的である」との発言も出ており、今後、さらに金利が引き上げられる可能性もあると示唆しているとの見方がある。

円安批判のG7?

1月30日東京市場の朝方のニュースになるが、インターネット版の日経新聞に次のような、記事が出ていた。

<独仏伊などユーロ圏13カ国は29日夜の財務相会合で、相次いで最近の円安進行に懸念を表明した。ルクセンブルクのユンケル首相(会合議長)は日本円の動向を注視しているとしたうえで「為替相場の不安定な動きは好ましくない」と語った。独仏伊は2月9、10日に開く7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で円安進行をけん制する構えだ>

この件については、先週に一部メディアが報じたことから、ドル円は一時120.65まで下げた。 しかし、その翌日に、渡辺財務官が否定したことや、ドイツ高官からも否定的な発言が出たことから、再び円安の勢いを取り戻してきている。 そこにきて、またユンケルの発言が出ているようなので、一体何を信じればよいのか、ということである。

G7を前にした、欧州各国の思惑が交錯しているようであるが、次の点には、注意を要する。
(1)今回の円安批判は、欧州発であること。 今まで、米国が中国の人民元安を批判する余波を受けて、円安批判を間接的に受けたことはあるが、円が名指しで批判されたのは、久しぶりである。
(2)ユーロ円、ポンド円等、約10年来の円安水準となっていること。  
(3)日銀が金利上げに踏み切れなかったことに対する批判があること。  金利安にして円安持続を狙っていると見られている。

今のところ、G7で円安問題が大きな議題として採り上げられるかどうかについては、定かではないが、日銀が金利を据え置いたことから、日本は実態を反映していない金融政策を採っており、従って、円安についても、実態を反映していないとの批判を受けても仕方がないかもしれない。 

12月23日の為替ストラテジー

ドル円
118円台前半での膠着状態が続いている。 クリスマス前であり、かなり相場の動きが鈍いものの、短期トレンドはドル高円安を示しており、ドルの押し目買いを推奨。 但し、トレンドの転換点が118.16まで上がってきており、NY終値がこの水準を下回るようならば、ドル安円高トレンドへ転換するので要注意。 

ユーロドル
現在は、ユーロ売りドル買いシグナルが出ているものの、先週末から今週にかけて、1.3050付近を2度トライしており、2番底を打った可能性がある。 トレンド転換点も1.3203まで下がってきており、この水準を上回って引ける場合には、ユーロ買いドル売りシグナルが出ることになる。 本日は、クリスマス前でもあり、無理してポジションを取る必要はないが、1.3203を上回れるかどうかが、来週の相場転換を決めるものと思われる。