米国のサブプライム住宅ローン問題に端を発した金融不安は、高リスク投資を続けてきたヘッジファンドの破綻という形で表面化し、全世界の金融マーケットを巻き込んだ問題になっている。
ヘッジファンドについては、以前から、事あるごとに、金融マーケットの問題児として扱われてきたが、ここ5年の間に約3倍に増加し、運用資産は17兆5千億ドルに達するということである(bloomberg news dated 8-31-07)。 今や、彼らの動向がマーケットの動向を左右すると言っても過言ではありません。
ヘッジファンドについては、資産の何倍もの取引をすることが知られていますが、サブプライム問題が表面化し、世界中の株式市場が大打撃を受けた段階で、ある程度の資産処分を行いました。 その過程で、キャリートレードと言われるスキームを解消したことが、円高の原因だと言われています。 つまり、金利の安い円で借り入れを起こし、金利の高いもの・リスクの高いもので運用していた取引を解消するために、ポンドや、ユーロ、米ドル、オースオトラリアドル等を売って、円を買い戻すという動きをしたわけです。
現在は、株式市場が多少落ち付きを取り戻していますので、キャリートレードの大きな波は去ったような印象があります。 しかし、このまま株式市場が停滞したままですと、年末が近づけば、ヘッジファンドは利益確保の動きに出ます。 特に、海外で運用していたり、ドル以外の通貨になっているものについては、できるだけリスクを避けるために、米ドルに転換してリスクを避けようとしてきます。
この動きを次の2つのシナリオから分析予想してみます。
(1)サブプライム問題がさらに悪化し、全世界的な株式市場の暴落がある場合
(2)サブプライム問題の悪化はなく、株式市場も比較的に落ち着く場合
(1)の場合には、全世界的な資金還流があります。 特に、キャリートレード解消の動きが加速し、ドル円は1ドル100円を脅かすような状態になる可能性があります。 キャリートレードについては、米ヘッジファンドだけではなく、高金利通貨を狙った日本人のポンド買い円売り等のスキームも含みますので、円独歩高になる可能性もあります。
(2)の場合にも、年末になれば、資金還流動きが出てきます。 特に、米ヘッジファンドの資金還流の動きは、一時的なドル買いラッシュを引き起こしますが、ドル資産への資金流入が続けば、金利は低下します。 一般的には、金利が低下すれば、その通貨は安くなるはずですが、米ヘッジファンドによる資金還流は、金利水準よりも安全通貨を選びますので、ドル買いの勢いが殺がれることはないでしょう。
いずれにせよ、サブプライム問題がそんなに簡単に解決されるわけはなく、少なくともあと半年程度はくすぶり続けるでしょうから、サブプライム問題とヘッジファンドの動向からは目が離せないでしょう。
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